思い込み、感覚麻痺、マーケティングマイオピア
御社や御社の業界そのものが、「当たり前」と考えていることが、実は一般の方々や業界外の企業からは驚愕の事実であったりする可能性は少なくありません。
また、御社が「売り」と思われているポイントを顧客はそれほど有り難がっていないということも考えられるかも知れません。
自信を持ってオススメするスポイントが、実は……
弊社では「感動取材」と題して、クライアント様の先に存在するエンドユーザー様の満足度や、実際にクライアント様の商品やサービスを利用した結果得られている充実した企業活動やライフスタイルを取材し、撮影し、コピーライティングをするという業務を行っています。同時に、提案するWebサイト制作や会社案内、商品カタログなど紙媒体の制作においてもエンドユーザー様の取材を精力的に行っています。
そして、「その企業様が自社のセールスポイントとして推している商品やサービスを、エンドユーザー様がそれほど魅力とも感じていないばかりか、全く違ったポイントに深く惚れ込み、その企業様を絶対的に信頼している」という事実に直面することがよくあります。
それは取材の現場で実際に判明した
とある弊社クライアント様のホームページと会社案内を同時進行で制作させていただいた案件での、制作過程で実際に起きた出来事でした。
ホームページと会社案内の双方に掲載するため、クライアント様のセールスポイントをいくつか挙げていただき、それぞれの項目ごとの「感動取材」を行うために、エンドユーザー企業様へ伺いました。
それぞれのエンドユーザー企業様で、弊社のクライアント様が「売り」としていた業務の内容や、そのサービスを受けての効果、満足度、オススメポイントなど、さまざまな角度と切り口から質問をしたり、エピソードを引き出していく段取りで、いつも通りに取材を行いました。意外な取材結果は最初の1件目から始まりました。
最初の1件目~「売り」業務から話が逸れる
エンドユーザー企業様に到着し、自己紹介や取材の流れなどを一通りご説明した後、クライアント様の「売り」業務について質問をするのですが、幾度となく話が逸れるのです。
何度も話題の軌道修正を行い、クライアント様の「売り」業務についてお話を聞き出そうとするのですが、エンドユーザー様はクライアント様企業全体、あるいは担当者が所属するセクション(課)全体の良さ、さらには担当者自身の人間性の良さを語るばかりで、一向に取材しようとしている「売り」業務に話がたどり着きません。
半ば押し切り気味でストレートに「売り」業務についてお聞きすると、「ああ、そんなこともお願いしてたっけ。確かにそれは良いよね。でも、ウチはそれが良いからって理由で○○さん(弊社のクライアント企業様名)と付き合ってるわけじゃないよ。そりゃあ、確かにそれ、やってもらってて助かってるけど、仕事って、最後は人対人だよ。○○さんはみんな一生懸命で、本当に親身になってやってくれるからね。もちろん、甘いだけじゃなくて、厳しい時は厳しいしね。」という答えが返ってきました。
何とかその場では「売り」業務についての感想もお聞きすることができましたが、エンドユーザー様の弁はそれほど立ちません。相変わらず脱線ばかりでした。
同じリアクションが続く
それが最初の一件目だけだったのなら、「そういう例外もたまにはあるか」と切り替えられたのですが、そのクライアント様に関して取材する次のエンドユーザー企業様も、更にその次に取材したエンドユーザー企業様も、同じような話の展開なのです。
「○○さんの「売り」業務はもちろん効果もあるし満足度も高い。もし自分の親しい社長さんが同じようなサービスを探していたら絶対紹介する。でも、自分が気に入っているのはそこじゃない。やはり○○さんの社員一人ひとりの人間性だ。そして○○さんの会社のあり方。何と言っても代表の人間性と専門性だね。」
他にもある、同じような“思いこみ”の話
他にも、同じような話がいくつもあります。その業界やその地域では「当たり前」と思っていることが、業界外の企業や、一般の方々にとっては「すごい事」だったりするケースは少なくないのです。
実際に、「当たり前」と思いこんでいたポイントを全面的に押し出してネット販売を行ったところ、全国から注文が殺到し、その業界、その特産地域で一人勝ちを収めたという例が数件あります。それは、社内や業界、特産地域内などにおける凝り固まった先入観が作り出した、近視眼的な問題です。厄介なのは自分たちでは気づきにくい、という点です。
御社のエンドユーザー様に響く、本当の魅力とは何でしょうか。